【訪問演奏】試練のガボット、優雅に披露

 皆さん、ガボットはお好きですか?ガボットとは、四分の四または二分の二拍子のフランス発祥の舞曲で、組曲の中の一曲として様々な作曲家によって作曲されています。今回ご紹介する訪問コンサートでは、作曲者が異なる2曲のガボットが登場し、曲の解説を交えながら、作曲家による違いを楽しみました。

 さて、6月26日に葛飾区の介護老人保険施設にて2台のバイオリンによる訪問コンサートが開催されました。演奏者はバイオリニストの渡邉真浩さん、大谷萌々子さんです。お2人は今年の春に東京音楽大学を卒業し、現在は演奏活動を行っています。在学中のエピソードを織り交ぜた和やかなトークと息の合った演奏で観客の気持ちを掴みました。

 この日は日曜日。施設では日曜日のデイサービスが行われており、デイサービス利用者の方も会場に集まりました。密を避けるため、人数を制限しての開催となりましたが、皆この日を心待ちにしていたと施設職員の方が話してくださいました。世間では行動制限が緩和される傾向にある一方、高齢者施設ではまだまだ制限が多く、以前のようにはイベントが開催できない状況下において、生演奏は利用者にとってはもちろんのこと、働く職員の方々にとっても貴重な息抜きの機会になると言います。

 歌謡曲とクラシックで構成されたプログラムは、きっと一度は聴いたことのある名曲が並びます。ピアノ曲として有名な「子犬のワルツ」は、バイオリンで演奏すると、聴き慣れた印象とは違った雰囲気が楽しめます。大谷さんが飼っている愛犬をイメージして演奏してくれました。ほとんど吠えないおとなしい性格のワンちゃんだそうで、どんな子なのか想像がふくらみます。

 ゴセック作曲「ガボット」とバッハ作曲「無伴奏バイオリンのためのパルティータ第3番」中「ガボット」は、2種類のガボットの作曲家による違いを聴き比べました。バイオリニストにとっては、ゴセックのガボットは幼い頃に、バッハのゴセックは音大で弾く定番曲であるそうで、当時のお2人にとっては乗り越えるべき試練のガボットだったそうです。これまでのバイオリン人生を象徴するような豊かな音色でした。

 実は、お2人ともバイオリンだけでなくビオラも弾きます。この日のプログラムでは数曲でビオラが登場。参加者からは音域や音色について様々な質問が寄せられました。バイオリンよりも一回り大きく、柔らかい低音が特徴のビオラの音を実際に見て、聴いて比べてみました。

 演奏後には参加者の皆さんからサプライズが、、。演奏者へ手渡されたのは『Thank you』と書かれた手作りのカード。感謝の気持ちが込められたカードを大事に受け取って、お2人も参加者の方々に感謝の気持ちを伝えました。45分間の演奏を通して、演奏者と参加者が一体感に包まれたのを実感しました。

 「開催して良かった。」利用者の方々の笑顔を見ると、職員の方は安堵の表情を浮かべました。コロナ禍の今、生演奏はリアルタイムで笑顔をつなぐ、即効性のあるビタミン剤になっています。

~プログラム~

日本の四季メドレー(花、浜辺の歌、赤とんぼ、雪、ふるさと)

リンゴの唄 / 万城目正

青い山脈 / 服部良一

花は咲く / 菅野よう子

子犬のワルツ / ショパン

ガボット / ゴセック

無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番よりガボット / J.S.バッハ

アメイジング·グレイス

見上げてごらん夜の星を / いずみたく

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基本的な感染症対策に加え、演奏者と観客との距離を十分に確保することで、安心安全なコンサートを開催することができます。


また、ご要望に応じて、飛沫リスクの少ない弦楽器や打楽器などのコンサートもご提案させて頂いております。


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